こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループ
税理士法人トップ財務プロジェクト代表
岩佐孝彦@税理士です。
今年の流行語年間大賞は、
『アレ(A・R・E)』
に決まりましたが、
岡田彰布監督は表彰式の
壇上でこう解説しました。
………………………………………
「コレ」はすぐ手が届く。
「アチラ」は遠い。
「アレ」はもう少しで手が届く。
………………………………………
阪神タイガースは昨季まで、
2位や3位が多かったため、
もう少しで優勝に手が届くとして、
使い始めたそうです。
人間誰しも一生懸命努力しても、
全く手が届きそうにない
目標は立てません。
そう考えると、
『アレ(A・R・E)』
は絶妙なフレーズだったのか?
毎年この時期になると、
「上場企業の賞与平均額」
がSNS上でも報道されます。
ただ日本の事業所の99.7%を
占める中小企業経営者からすれば、
『アレ(A・R・E)』
になりにくい面があります。
我々の実感とすれば、
もう少しで手が届く感覚が
持ちにくいからでしょう。
上場企業は数で言うと、
全体の0.3%。
世間の人種で見れば、
経営者層より労働者層の方が
圧倒的に多いため、
マスメディアは大衆目線で
上場企業に関する報道を出します。
しかし中小企業経営者から見れば、
ピンと来ない面もあるでしょう。
よって、私たちは、
「賞与の世間相場の正しい情報」
を知っておくべきです。
どんなに素晴らしい設計思想で
賞与査定制度を設計していても、
世間相場よりも低い賞与であれば、
どうでしょうか??
従業員の立場から見れば、
▼今の仕事
▼今の職場
▼自分自身
にプライドが持てません。
自分も自分の職場も
社会に存在価値を認められている。
そう認識してもらうためには、
世間相場よりも低い賞与はNG。
じゃあ、世間相場っていくら?
私(岩佐)が毎年夏と冬に
定点観測しているデータがコレ!
「大阪シティ信用金庫の
中小企業賞与支給実態調査」
このデータの信用性が高いのは、
回答数の規模です。
「大阪府下1,001社」
の回答に基づく
アンケート結果であるため、
実態をある程度正確に
表していると言えます。
2023年冬季賞与の1人当たり平均額は、
【297,477円】
(前年対比 8,212円UP)
(前年対比 2.8%UP)
となりました。
その他、タイムリーに
発表される統計データとしては、
「東和銀行経済研究所の
中小企業賞与支給実態調査」
もあります。
参考までに2023年冬季の
1人当たり平均額は以下の通り。
【363,255円】
(前年対比 14,088円UP)
(前年対比4.0%UP)
前述の大阪シティ信金の
データよりかなり高いです。
しかし回答数が少ない?
「群馬や埼玉県下255社」
なので、
大阪府下の回答1001社より
かなり少ないです。
このあたりは割り引いて
見た方がよいかもしれません。
いずれにせよ、
賞与がどのくらいなら高く、
どれくらいなら低いかは、
▼地域
▼業種・業界
▼企業規模
で一概には言えませんが、
「中小企業の世間相場
=絶対死守すべき最低ライン」
として知っておきましょう。
賞与も含め、賃上げは
今後の重要テーマになるのは必至。
岸田政権も声高に叫んでいます。
優遇税制として、
「賃上げしたら、
“理想的な節税”ができる」
構造になっています。
《注》理想的な節税とは?
税額控除として、
一旦計算された法人税額を
ダイレクトに一定割合を
差し引いてくれる。
節税のために政策的に
経費を増やし、
決算書をキズモノにしなくても
節税できる効果あり。
:
:
:
まもなく発表される予定の
「令和6年度税制改正大綱」
においても、
「賃上げ促進税制の更なる拡充」
が盛り込まれる方針だとか。
詳細は正式発表後に
解説しますが、
現行の賃上げ促進税制の要件も
『アレ(A・R・E)
= もう少しで手が届く』
になっています。
雇用者等給与支給額の要件が
【前年対比1.5%以上UP】
ですから、ハードルは低い??
上記の冬季賞与支給調査を見ても、
▼大阪シティ信金調査データ
⇒前年対比2.8%UP
▼東和銀行調査データ
⇒ 前年対比4.0%UP
でしたので、
今冬賞与だけを切り取って見れば、
賃上げ促進税制の要件を満たします。
(人件費増加額の15%の税額控除OK)
(上限:法人税額の20%)
この優遇税制には拡充版も存在し、
▼雇用者等給与支給額
⇒前年対比2.5%以上UP
▼教育研修費
⇒前年対比10%以上UP
の2要件を満たせば、
▼人件費増加額の25%の税額控除
(上限:法人税額の20%)
の税効果が得られます。
この上記2要件も
人材教育に力を入れる経営者なら、
『アレ(A・R・E)
= もう少しで手が届く』
と言えるでしょう。
先日の日経新聞の特集記事として
こんな見出しがありました。
『部下は「資産」
管理から支援へ』
『設備より人に投資シフト』
記事によれば、
会社と社員の力学が
変わっている。
人への投資を成長につなげ、
個人が能力を発揮できる
仕組みづくりに力を入れる。
そんな企業が増えているとか。
「人を大切にする」
は単なるお題目ではありません。
まさに経営トレンドなのです。
『アレ(A・R・E)』を分解すると、
▼A(Aim) … 目標
▼R(Respect)… 敬意
▼E(Empower) … 力をつける
だとか。
アレのエネルギーを拝受し、
強い組織づくりを追求すべし。
そのためには最低限、
「隣の会社 = 世間相場」
を知っておく必要があります。
今日も社長業を楽しみましょう。