こんにちは、神戸の税理士の岩佐です。
企業経営において難しいのは【危機管理コスト】をどこまでかけるか
という判断です。
本業のビジネスを伸ばすためのマーケティングコストや人件費と違い、
危機管理コストは本業と直結していません。
よって、生きガネなのか、死にガネの線引きが難しい。
ただリスクマネジメントのセオリーの一つに、
▼発生確率は極めて低いけれども、万一発生した場合に打撃度が大きいリスク
に対応しておく
というものがあります。
企業経営のおける、このリスクは【経営者の死】でしょう。
人間そんなに簡単に死ぬものではありませんので、これこそ万が一、1万分の1
の確率かもしれません。
明日も東京にて経営者の相続や事業承継対策の相談を受ける予定ですが、
▼経営者のマイナスの資産 … 銀行借入の代表者個人保証の問題
が頭の痛い問題として浮上しがちです。
かつて西郷隆盛は【美田を子孫に残さず】と言いましたが、
プラスの財産を残すことが真の意味で子供の将来のためになるのかと考えれば、
一つ間違えば自立心を損ない、逆効果になることも懸念されます。
子供を幸せにしたければ、生き様を見せながら知恵を残すのが一番でしょう。
しかし、負の財産のツケを次世代に残すのは一人の人間のけじめとして
よくありません。晩節を汚します。
ただ宿命的に【社長業=究極のハイリスク請負業】という側面があるため、
一つ間違えば万一の時に「借金問題」で他人様に迷惑をかけてしまうリスクがあります。
もし会社に一定水準以上の銀行借入がある場合、経営者自身が若い頃から生命保険に加入し、
社長の死とともに負の資産が自動的に消滅するスキームを設計しておきさえすれば、
何の心配も必要なかった…
そんなケースを税理士としてたくさん見てきました。
「後悔先に立たず」と言いますが、社長自身が高齢になったときに心配になり、
イザ保険に加入しようと思ったものの、あまりに高額の保険料の設定になってビックリ…
最悪なのは、健康診断で引っかかって加入不能…
この時になって初めて気づくもの。「若い時から保険に入っておけばよかった.」と…
銀座まるかん創設者で、納税額日本一といわれる斎藤一人さんはこう述べておられます。
「波乱万丈、どんと来い! そんなふうに思えるようになったら、もう大丈夫。
不思議なことに備えのあるところにトラブルは起きません。
神様は対処の仕方がちゃんとわかっている人のところにトラブルは起こさないものなのです。」
皮肉なことに危機管理をきちんとしている経営者には、本当の危機はやってこないもの
かもしれません。(笑)
銀行借入の代表者個人保証問題を解決するための生命保険をかけておく「ムダ」を
▼本当のムダと考えるか、必要なムダと考えるか?
ここにまさに危機管理の真髄があります。
機械の歯車が滑らかに回転するには「あそび」が必要です。
あそびを全くなくすと歯車同士が焼き付いて、機械が大きく壊れてしまうもの。
一見ムダに見えるものでも、全体システムとして取り除くことができない。
それが企業リスクへの生命保険料なのです。
経営者としてこう考えておくことは、必要なムダではないか、
そんな風に考えているのです。
今日も社長業を楽しみましょう。