こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
大企業500社の半分が脱落??
日経ビジネスによれば、
2015年~2025年の間に
「米国経済紙フォーチュン売上ランキング」
に入る米国の大企業500社のうち、半分が脱落する。
そんな予測データがあるそうです。
ここで言うのは、
「脱落 = 倒産する」
ではなく、
「脱落 = 衰退期に入る」
という意味です。
世の中の変化のスピードが速い。
技術、規則、消費者の嗜好の変化。
変化に直面すると、大企業が衰退し始める割合が高まる。
そんな研究結果が米国で明らかになっています。
:
:
:
コロナショックで、日本の大企業も衰退し始める??
「JAL営業赤字1200億円 過去最大(4~6月期)」
航空業界の厳しさが増しています。
一時的な落ち込みであれば、まだ良いのですが、、
感染リスクの収束は見えず、先行きも厳しい。
JALといえば、稲盛和夫氏による再建が有名です。
2010年経営破綻。会社更生法の適用へ。
そのわずか2年後。
営業利益2000億円のV字回復。
稲盛氏は京セラ流の
▼アメーバ経営
▼JALフィロソフィ
を導入。
JAL再生の原動力は、上記の2つでした。
2018年には、就職人気ランキング首位に立つ。
「ブランド力がある」
「グローバルな事業を展開している」
「仕事が面白そう」
こうした理由で大学生の人気を集めた。
経営破綻した姿はもはや過去のものに。
稲盛氏の経営手腕に敬服の限りです。
:
:
:
しかし、、
稲盛流の経営手法もコロナには及ばず。
ただコロナだけのせいではない??
コロナ到来(前)の1月8日。
日経ビジネスに興味深い記事が掲載されていました。
『JAL破綻からまもなく10年。
「稲盛流」風化にどう抗うか』
稲盛氏と共にJAL再生に尽力。
稲盛氏の側近が大田氏(元京セラ常務)。
JALに乗り込んだ直後はまさに四面楚歌だったとか。
当時のJAL幹部の中には、
「製造業から来た連中に何がわかるんだ?
まずは、大田を潰せ!」
という声もあったそうです。
苦境下で懸命に稲盛氏と共に社員の意識改革に尽力した。
そんな大田氏がコロナ前の日経ビジネスの取材に対し、
こんなコメントを出していました。
…………………………………………………
稲盛さんがJALに持ち込んだ施策が
マンネリ化してきたようだ。
業績が伸びない理由を幹部に聞いても、
「やれ原油高のせいだ」
「ライバルが強すぎる」
などと他責にする。
中堅や若手社員の口からも、
「社内に役員の顔色ばかりを気にしている管理職が増えた」
と聞く機会が増えた。
これからのJALが心配だ。
…………………………………………………
奇遇にも、、
この心配はこの数ヶ月後に現実に。
JAL再建後の2013年。
稲盛氏と共に大田氏はJALを退社。
「再生請負人」
の異名を持った稲盛氏はJALにもう不在です。
内向きの社風と官僚主義の復活。
これが懸念されていた矢先に、
コロナショックにより、過去最大の赤字へ。
JAL、危うし。
経営改革が急務!
:
:
:
経営改革が急務なのは、航空業界だけではありません。
医療機関の経営難もコロナ禍で浮き彫りへ。
社会保険診療報酬支払基金によれば、
4月の前年対比は以下の通り。
▼病院
*診療報酬 △ 9.6%
*患者数 △20.2%
▼診療所(全体)
*診療報酬 △21.7%
*患者数 △24.2%
:
:
診療科目別にみると、以下の通り。
▼患者数
*内科 △21.6%
*小児科 △38.3%
*外科 △21.6%
*整形外科 △21.0%
*皮膚科 △11.0%
*眼科 △35.1%
*耳鼻咽喉科 △41.2%
*歯科 △22.3%
▼診療報酬
*内科 △18.3%
*小児科 △39.4%
*外科 △19.4%
*整形外科 △18.6%
*皮膚科 △12.8%
*眼科 △26.1%
*耳鼻咽喉科 △44.4%
*歯科 △12.7%
上記は4月の数字です。
歯科の健闘ぶりが目立ちますね。
患者数減(22.3%減)の割に
診療報酬減(12.7%)にならず。
矯正やインプラントなど。
保険診療に追われず、自費診療にじっくり取り組んだ。
そんな歯科医院は踏ん張っています。
しかし問題なのは、、
緊急事態宣言解除後の6月以後も患者数の回復が鈍いこと。
7月3日には、中川俊男氏(日本医師会新会長)が
「診療所から大病院まですべてが大変なことになっている」
と加藤厚労大臣に窮状を訴えたとか。
7月29日付の日経新聞には、
「外来の患者数は小児科を中心に10%程度減り、戻らない。
入院も5%程度は、戻らないだろう。」
との小松大介氏(メディヴァ)のコメントが掲載されています。
医療機関の経営改革も急務!
:
:
:
感染を恐れる患者に対し、
受診してもらうにはどうすべきか?
以下の3つが大きな潮流です。
▼オンライン診療
▼在宅診療
▼院内感染予防対策(外来対策)
オンライン診療は、広がりを見せています。
遠隔での診療や健康相談なら、
患者は感染を恐れる必要なし。
全国の医療機関の中で、、
10%強(1万6千ヶ所)がオンライン診療に対応済。
(7月1日現在)
従来は、診療所の「商圏」は、以下とされてきました。
*都心 … 半径500メートル
*地方 … 半径2キロメートル
しかし、オンラインでこの垣根が取り払われる。
そうなると、立地の優位性はなくなります。
患者の医療機関を選ぶ基準は、
「近くて便利」
ではなく、
「医療サービスの質」
がより重視される。
その結果、全国10万ヶ所の診療所の自然淘汰が始まる。
そんな可能性が高いと言われています。
:
:
かつては、ランチェスター戦略による
「エリアを絞り、小商圏で経営資源を集中投下する」
が経営のセオリーでした。
しかし、過去の常識はもはや通用せず。
医療機関の経営においても、オンライン診療が普及へ。
ただオンライン診療が浸透しても、
コロナ前の水準に100%患者数は戻らない??
高齢者の中には、、
待合室で友人と話すのが楽しみで、
医療機関に頻繁に通っている。
そんな患者もいるからだそうです。
『デジタルとリアルの融合』
医療機関の経営改革でも、これがキーワードです。
中小企業経営者のカリスマの
「稲盛和夫氏」
の神通力でさえも、コロナ禍では及ばない。
私たち経営者は変革へ前進あるのみですね。
コロナ不況をチャンスに!
今日も社長業を楽しみましょう。