こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
実は、長寿の方程式は2つあります。
「環境変化に対応し、進化せよ」
これだけではありません。もう一つは以下の通りです。
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伝統を守り抜く。
時代が変わっても、自分たちの“コア”は変えない。
無駄な多角化や新規事業に手を出さない。
自社の最も競争力のある部分に経営資源を集中させる。
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このような戦略は老舗企業の共通項でした。
造り酒屋や温泉旅館などの中には、
営業エリアも事業内容も創業以来ほぼ同じ。
それなのに、100年以上も存続。
“コア”は変えず、“周辺”だけマイナーチェンジする。
これも長寿企業の手立てです。
代表例は、和菓子の「虎屋」。
京都で創業し明治維新後、本拠を東京へ。
その後も主に近隣の富裕層などを対象に商売を続ける。
しかし戦後は一般消費者向けに店舗を全国展開へ。
パリにも出店し、海外展開へ。
室町時代に創業し、480年経っても、
「和菓子一筋」
は変わりません。敬服の限りです。
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しかし、「伝統を守り抜く」は難しい?
「環境変化に対応し、進化する」
これよりも言うは易し、行うは難し。
江戸時代創業の「花園万頭」。虎屋と同じく、和菓子一筋。
しかし、2018年5月に破産。
「花園万頭」、「ぬれ甘なつと」
これに続くヒット商品を生み出せず、
経営が行き詰まりました。
「制服一筋」を貫く。
そんな企業が大阪市にありました。
ユニフォーム製造の「サンリット産業」。
1966年創業、50年以上の社歴。
警察や消防などの官公庁、
民間では金融機関向けなどの制服。
「サンリットで制服を揃えると、身も心も引き締まる」
成長期には納入先から、こんな声が挙がっていたとか。
最盛期の売上は79億円。
大阪商工鍵所副会頭。りそな銀行の社外取締役。
創業者の小池俊二氏は “関西経済界の顔”
でいらっしゃいました。
しかし、バブル崩壊。
経費削減の波が、企業にも官公庁にも押し寄せる。
「制服廃止 ⇒ カジュアル化」
の流れが進んだのです。
そこで、サンリット産業の採った戦略は、
制服一筋を貫くこと。
自社の最大の強みとは何か??
これまで培ってきた制服市場での販路や技術力、ブランド力。
そう判断し、以下の戦略を展開へ。
「企業向けの制服はもっと仕事しやすく」
「警察向けの制服はもっと強靭に」
こうして徹底的に高機能化することで、利幅を取る。
市場全体が縮小する中でも、
生き残る戦略を選択したのです。
しかし、制服市場の縮小は止まらない。
2018年9月期の売上は最盛期の
8分の1以下の9億円まで激減。
今秋に自己破産。負債総額は約32億円。
「〇〇一筋」で生き残ってきた虎屋。
倒産した花園万頭とサンリット産業。
明暗は真っ二つに分かれたのです。
長寿企業の定説として、
▼環境変化に対応し、進化する
▼伝統を守り磨く
の2つの方程式は必ずしも正解でない。
そんな明快なる答えのない時代が今到来しています。
絶対的な答えのない時代の中で、
“最適解”
をいかに導き出すか??
すべての経営者に今求められています。
世界のビジネススクールで読まれた
名著『企業参謀』の著者。
大前研一氏にこんな名言があります。
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何が正しいのか分からない。
そんな状態に平然と耐え、
チャレンジした先にこそ答えがある。
誰も答えが分からない物事に対して、
自分で仮説を立てて立証していく。
そんな「勇気」と「しつこさ」を持つ。
これが勝ち残るうえで、
個人にも組織にも最も必要な能力だ。
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今年も3週間足らずとなりました。
ラストスパートあるのみですね。
今日も社長業を楽しみましょう。