こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
「桜を見る会」への騒ぎが続いています。
問題の一つが夕食会費です。
安倍首相の説明によれば、1人5000円。
安倍事務所の職員が集金し、ホテル名義の領収証を手渡したとか。
焦点となっているのは、5000円ピッタリなのか否か?
野党側は、
「5000円は安すぎる」
と疑問を呈する。
大体1万1000円??
差額は、安倍事務所で補填??
政治資金規制法違反??
色んな声が挙がっています。
政治のことはよくわかりませんが、
税務の世界には確かに『5000円の壁』が存在します。
法人税法に以下の規定があります。
「1人あたり5000円以下の飲食費は、
交際費の範囲から除外する。」
接待交際費は年間800万円までの損金不算入枠あり。
つまり、年800万円を超える交際費は、
損金にならないということ。
但し、1人5000円の飲食費は、
交際費の範囲にそもそも含まれない。
例えば、3人で15000円の飲食費は、
交際費ではなく、「会議費」として損金計上OK。
そんな規定になっています。
国税庁は飲食費に対し、
「1人5000円以下は冗費ではない」
というスタンスなのです。
だから、「桜を見る会」の会費も1人5000円だった??
税理士目線からすると、そうなります。
(笑)
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実は、税金&社会保険には『〇〇万円の壁』
が多数存在します。
2017年就業構造基本調査によれば、
▼パートを初めとする非正規社員のうち、
就業調整をしている者の8割強
⇒ 年収50~149万円
という実態が浮き彫りになっています。
ちょうど今、年末調整のシーズンです。
皆さんの組織のパート社員の年収チェックにおいても、
『〇〇万円の壁』
は是非知っておきましょう。
税金&社会保険における“壁”となる金額基準は以下の通り。
▼(A)103万円
⇒ 所得税の配偶者控除38万円の基準
▼(B)106万円
⇒ パート社員の社会保険加入要件(但し、下記要件あり)
⇒ 正社員501人以上の企業の場合
⇒ 月額8万8千円以上の収入
⇒ 雇用期間1年以上
⇒ 所定労働時間が週20時間以上
⇒ 学生ではない
▼(C)125万円
⇒ 障害者&寡婦の住民税非課税の所得基準
▼(D)130万円
⇒ パート社員の被扶養者が国民健康保険に切り替わる基準
▼(E)145万円
⇒ 国民健康保険の現役並み所得の基準
▼(F)150万円
⇒ 配偶者特別控除の上限38万円の所得控除のライン
▼(G)150万円(1回あたり)
⇒ 厚生年金保険料の標準賞与の上限額
▼(H)160万円
⇒ 介護利用者2割負担の所得基準
▼(I)220万円
⇒ 介護利用者3割負担の所得基準
▼(J)383万円
⇒ 70歳以上(単身世帯)の健康保険の現役並み年収基準
▼(K)520万円
⇒ 70歳以上(被扶養者有)の健康保険の現役並み年収基準
▼(L)573万円(年度累計)
⇒ 健康保険料の標準賞与の上限額
▼(M)850万円
⇒ 年金の生計維持要件のライン
⇒ 給与所得控除縮小の年収基準(2020年より)
▼(N)960万円
⇒ 児童手当の所得制限
▼(O)1075万円
⇒ 有期労働契約の高度専門的労働者の年収基準
⇒ 労働時間規制の適用除外となる
高度プロフェッショナル制度の年収基準
以上、15の“壁”です。
上記の中で、パート社員の労務管理で、
よく論点になるのは以下の3つです。
▼(B)106万円
⇒ パート社員の社会保険加入要件
▼(D)130万円
⇒ パート社員の被扶養者が国民健康保険
に切り替わる基準
▼(F)150万円
⇒ 配偶者特別控除の上限38万円の所得控除のライン
まず(B)は、今後の改正に要注意です!
政府は現在、パートの厚生年金適用拡大に向けて、
★社員数501人以上から【50人超】へ
規模要件を調整する方向で動いています。
公的年金財源の確保へ向けて、
厚生年金加入者を増やすための施策です。
しかし、懸念されるのは、
中小企業の保険料負担による経営悪化。
今後はパート社員の厚生年金加入要件として
【50人基準】
になる可能性が高くなっています。
この他に労働安全衛生法上、
50人以上の常時労働者の法人の場合、
▼衛生管理者
▼産業医
の選任がすべての業種において義務付けられています。
経営者においては、
『社員数50人以上は、色んな労務費負担が重くなる』
という事実を知っておいて下さい。
次に(D)と(F)に注目です。
2018年から配偶者控除が150万円に拡大されました。
但し、これは所得税の世界のお話。
現場では、健康保険の被扶養者の範囲内の
『年収130万円未満(通勤手当含む)』
で働くパート社員の存在が多い。
もし年収130万円を超えると、夫の扶養を抜けて、
自分で健康保険に加入しなくてはいけない。
そんな費用負担を回避すべく、
年収130万円未満で就業調整を図る。
そんなケースが多いのです。
結婚や育児という人生経験を経て、
日々頑張って働いているパート社員。
彼女たちの存在はあらゆる組織において、貴重です。
先日の私ども社内の「年末調整推進会議」の中でも、
顧問先のお客様における、
『年収103~130万円』
のラインのパート社員については、
弊社規定のチェックリストにて、
しっかりマークするように徹底しました。
私どももスタッフ一同、
顧問先のお客様のパート社員の皆様に対し、
ホスピタリティをもって対応します。
パート社員の皆様に対し、十分配慮してあげて下さい。
今日も社長業を楽しみましょう。