こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
明日はバレンタインデーだというのに…
それとは裏腹にビジネス社会では先日、
『敵対関係』
が勃発しました。伊藤忠 vs デサント。
スポーツ用品大手デサントの筆頭株主。
そんなポジションにある伊藤忠商事がついに行動を起こす。
敵対的TOB(株式公開買い付け)です。
伊藤忠のTOBの条件は以下の通り。
▼直前の株価に5割上積み(1株2800円)
▼出資比率を30%から40%に引上げ。
▼期限:3月14日
通常TOBの上乗せ幅は3割程度。
それが今回5割の上乗せため、異例です。
また、40%を保有できれば、会社法上の拒否権の発動OK。
つまり、相手方の経営により深く関与できます。
これに対し、デサントも「強圧的」と反発。
しかし、TOBを阻止する手立てなし。
両者の対立は根深いものになっています。
伊藤忠とデサントの溝は昨年より見えていました。
『伊藤忠のドン岡藤会長の恫喝テープ流出
デサント社長に「商売なくなるで」』
こんな暴露記事が週刊文春に掲載。
昨年6月のトップ会談をデサント側が隠しどり。
その音声データが流出したのです。
これにより、デサント側に対する批判が高まる。
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伊藤忠商事がデサントの経営において危惧しているのは、
“一本足打法”
です。
具体的には、デサントの今日の好業績の背景に、
韓国事業に集中しすぎている点があります。
税引後利益の9割が韓国だとか。
そこで、伊藤忠の岡藤会長は、
「韓国一本足ではなく、中国などに販路を広げるべきだ。
中国事業では、ウチが全面協力する。」
とデサント側に提言されています。
岡藤会長と言えば、有名なスローガンがあります。
“か・け・ふ”
です。
▼か … 稼ぐ
▼け … 削る
▼ふ … 防ぐ
トップに就任後こんな言葉を作り、
現場へ頑張ろうと大号令をかけたのです。
“か・け・ふ”と聞けば…
往年のミスタータイガースの掛布雅之氏を思い出します。
背番号31のスラッガーでした。
実は、岡藤会長は大阪ご出身です。
大阪府立高津高校卒業後、
東大へ進学された秀才でいらっしゃいます。
幼少の頃から、阪神タイガースファンでいらっしゃった??
(笑)
カリスマ性のあるトップリーダーは、
メッセージ性があります。
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経営者というのは、
いかに社員の力をひとつの目標に向かって、
集結させるかが大事。
社員の士気を上げるためには、
トップが闘争心を燃やさないといけない。
同じ話をしても、
燃えている時とそうでない時は、
情熱の伝わり方が違う。
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これは、岡藤会長の名言です。さすがでございます。
大いに勉強になりました。
デサントは1935年に創業。
現在の社長は創業家の石本氏。
社名の由来は『descente=滑降』だとか。
社名マークの3本の下向きの矢は、
▼直滑降
▼斜滑降
▼横滑り
というスキーの基本滑降を意味するそうです。
*オリックス・バファローズ
*横浜DeNAベイスターズ
*広島東洋カープ
の3球団のユニフォームを手がけていますね。
近年の業績も好調です。
オリックスファンの私(岩佐)はもちろん、
デサント製のスポーツウェアを持っています。
(笑)
しかし、収益構造に難があるといわれます。
韓国事業で利益の9割を占め、極端に偏っています。
そして、ここへきて、その韓国が伸び悩み。
こうした現状を打破するため、
伊藤忠が強硬策に打って出たのです。
確かに『選択と集中』は経営戦略の基本。
しかし、あまりに偏りすぎるのはよくないのは確かでしょう。
経営における攻めと守りの両面で、
“一本足打法”
はよくありません。
まず、攻めの面から見てみましょう。
特定少数の上得意先に依存した収益構造では、
「この顧客に切られたら、もう危ない」
「来年もまた仕事をもらえるだろうか?」
と経営者は怯えながら暮らすことになります。
このように経営者が疲弊してくると、
具体的な方策を打ち出せなくなる。
結局、気合と根性と勘に頼らざるを得なくなる。
だからこそ、事業は【積上げ継続型】にしていかねばならない。
積上げ継続型であれば、
売上の何割かは来年も確実に見えている。
「前年度の売上20%アップを目指す」
と言う時もきちんとしたベースがある。
よって、事業計画の見通しが立てやすく、
達成できる確率も高くなります。
仮に何らかのトラブルがあり、
一部の顧客が流出しても大勢に影響なし。
ダメージは少ないでしょう。
ベンチャー企業の場合、
たまたま選んだ事業は一過性のものだが、
うまくいったというケースはあります。
しかし、どんな事業を手がけるか?
そんな時に、積上げ継続型のビジネスを選べるか?
これは、収益構造のキモです。
▼弁護士
▼税理士
▼司法書士
▼社会保険労務士
▼行政書士
このように士業ビジネスは様々あります。
この中で、積上げ継続型レベルが圧倒的に高いのはどれか?
それは、税理士です。
息子が士業ビジネスをしたいと言ったら、
絶対に父親と同じ道を勧めます。
(笑)
顧問先のお客様に改めて感謝!
いつも本当にありがとうございます!
次に、守りの面では考えてみましょう。
▼選択と集中ではなく、複数分散攻撃を!
これは、税務戦略の基本中の基本です。
奥様を初めとした同族ファミリーを役員にエントリー。
そうして、所得分散を図るのです。
まさに【ファミリー総動員体制】です。
個人にかかる所得税は【累進税率】です。
つまり、所得が高くなればなるほど、
高い税率が課せられる。
よって、経営者個人に所得を集中させない。
同族ファミリーに対し、所得分散を図る。
これは累進税率を逆手に取った有効策なのです。
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そして、究極の複数分散攻撃とは何か?
資産管理法人の設立です。
▼所有 … 株主(出資者)
▼経営 … 役員
この初期設定をどうするか?
これが資産管理法人のキモです。
ここでも、複数分散攻撃が生命線です。
ファミリー総動員体制を!
▼妻
▼息子
▼娘
▼父
▼母
▼義父
▼義母
▼孫
▼娘婿 などなど。
所有(株主)と経営(役員)の両面から、
かしこく設計すべし。
今日も社長業を楽しみましょう。