こんにちは。JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
ハローワークの前で怒りや戸惑いの声。
「ふざんけじゃねぇ」「何を信じればよいのか」
厚生労働省の無料相談ダイヤル設置後のお問合せ件数。
その数、何と1万2千件以上。
大きな波紋を呼んでいます。
厚生労働省による不適切な調査問題です。
『毎月勤労統計調査』で手抜き仕事??
それも、23年間にわたって…
ただこう思われる方もいるかもしれません。
「調査って言っても所詮、単なる統計データなんでしょ?」
しかし、『毎月勤労統計調査』は、
ただの統計数字ではありません。
大変重要な意味を持ちます。
なぜなら、『毎月勤労統計調査』の平均給与額が
以下の基礎となるからです。
▼雇用保険の求職者給付
▼労災保険の年金給付
▼労災保険の休業給付
今回の不適切な調査により生じた支払不足額は何と、
567.5億円!!
不当に低く抑えられた給付を受けていたのは、
1900万人!!
行政の根幹が揺るぎかねません。
毎月勤労統計調査では、従業員500人以上の事業所を
【すべて】調べると決まっています。
しかし、厚労省は東京都で調査対象となる
約1400のうち【3分の1】しか調べていなかったとか。
中小企業よりも賃金が高い大企業が調査の対象から
抜けていたため、
2004年~2017年は実際よりも統計結果の賃金が
低くなっていました。
その結果、雇用保険等の給付が過少になったのです。
あまりに理不尽な出来事と言えます。
:
:
:
人生、確かに理不尽はたくさんあります。
『理不尽に勝つ』(PHP研究所)
著者の平尾誠二氏(元ラグビー日本監督)は、
こう述べています。
……………………………………………………
理不尽に感じた時。
そんな時は、
ネガティブに考えるのではなく、
ポジティブにとらえることが大切になる。
今の状況は、
自分を強くするための試練なのだ。
そういうふうに気持ちを切り替える。
それができれば、
同じ景色でも全く違って見えてくる
のではないか。
……………………………………………………
勇気がもらえる言葉ですね。
しかし、今回そうは問屋が卸しません。
厚労省の問題の被害者は、失業者や業務災害の被災者です。
こうした社会的弱者の方々に対しては、
上記の言葉は全く通用しないでしょう。
2007年『消えた年金問題』の再来か??
当時の厚労省による杜撰な年金記録が判明。
この問題は安倍政権に大打撃を与えました。
厚労省職員の残業時間は中央省庁の中でも突出して多いとか。
今回の問題の背景に対し、厚労省の職員の多くは、
「忙しい」ことを理由に挙げているとか。
ただ忙しいだけで済まされる問題でないことは確かです。
厚労省は一体どうなるのか??
次に今回の問題を経営者の視点から考えてみましょう。
今回の問題で雇用調整助成金など、
約30億円の給付不足が明らかになりました。
こうした想定外の追加給付により、
来年度の助成金の予算が削られるのでは??
私(岩佐)は個人的に危惧しています。
しかし、そんな中でも「聖域の予算枠となる」
と予想される助成金があります。
それは、
▼中小企業の休み方改革
に対する助成金です。
:
:
:
今年のGWは、10連休ですね。
新天皇即位に伴う措置です。
祝日法が定められた1948年以来、最長だとか。
ただ新学期まもない、この時期に、
夏休みの4分の1に相当する長期休暇となれば、
子どもの心身が不安定になるのではないか。
教育の現場では、そんな不安の声も出ています。
また、金融マーケットにも不安の声。
株式市場が10連休中に動きを止める間も、
欧米の金融政策決定会合などがあり、
海外市場は刻々と動いていきます。
さらにこの時期は例年、
上場企業の決算発表がピークを迎えます。
東証は決算の早期発表や分散を呼びかける方針のようですが、
企業の最高財務責任者(CFO)からは、
「GW前の4月26日に前倒しになれば、
準備が間に合わない恐れがある」
と懸念の声が挙がっているとか。
ということで…
GW10連休は手放しに喜べない部分もあります。
ほぼ時を同じくして、2019年4月1日より、
労働基準法改正も予定されています。
▼すべての企業において【年5日以上】の有給取得の義務化
https://www.mhlw.go.jp/content/000350327.pdf
これは、年10日以上の年次有給休暇が付与される
労働者に対し、年5日については、
使用者が時期を指定して有給を取得させる。
これが完全に義務化されるわけです。
(注)
上記改正は、年次有給休暇の計画的消化制度
の導入企業は適用除外です。
:
:
:
いやあ、時代は大きく変わりました。
わが国の美徳はかつて、二宮金次郎でした。
【二宮金次郎の銅像】はまさに日本人の美徳。
二宮金次郎は、江戸時代の人物。
後に、二宮尊徳と呼ばれました。
幼少の頃、苦しい家計を支えるため、
「この先、百姓も知識や知恵を持たねばならない」
と考え、二宮家の再興を誓う。
薪を町へ売りに行く時は、
薪を背負って歩きながら本を読んでいた。
そんな姿が銅像にされ、
全国各地の小学校に設置されました。
勤労・勤勉のモデルとされたのです。
しかし、時代は変わり、
「休むことこそ美学であり、働かせると罰せられる」
という世相になりました。
そして、二宮金次郎の銅像も撤去へ。
その理由は、
「歩きスマホが危険だと問題視するなら、
歩きながら本を読むのも危険である。」
ということだとか。
天国の二宮金次郎が泣いている??
以上の世相を受け、
【中小企業の休み方改革】
に関する助成金が来年度新設されます。
ボランティアや病気療養などを目的とした特別休暇制度
を導入。そして、研修や就業規則の見直しなどに
かかる費用として、
▼最大100万円
の助成金になる見通しです。
今のところ厚労省は来年度の予算案で、
最大1億3千万円を計上する方針だとか。
今回の厚労省の不適切な調査問題で、
雇用保険財政の悪化は必至です。
重要度の低い施策の助成金の予算は、
縮小される可能性があります。
しかし、休み方改革の助成金は来年度の目玉になります。
4月になれば、制度の詳細が発表されます。
また先日、大阪産業創造館よりオファーを頂き、
5月には昨年に続き、
助成金セミナーの講師を務める予定です。
どうぞお楽しみに!
:
:
:
ただ時代がどう変わろうとも、
二宮金次郎の精神は大切にしたい。
個人的にはそう感じています。
二宮金次郎には数々の名言があります。
……………………………………………………
富を見て直ちに富を得んと欲する者は、
盗賊鳥獣に等しい。
人はすべからず勤労して、
しかる後に富を得る。
道徳なき経済は犯罪であり、
経済なき道徳は寝言である。
……………………………………………………
働かざる者、食うべからず。
富を得るには、勤労あるのみ。
道徳を語る前提に利益を出すべし。
赤字で賞与も満足に社員に出せなければ、
経営者は社員に道徳を語る権利なし。
そんなふうに解釈できます。勤労は尊いものです。
休み方改革の機運の中でも、しっかり肝に銘じます。
今日も社長業を楽しみましょう。