こんにちは、大阪駅前の税理士法人トップ財務プロジェクトの岩佐孝彦@税理士です。
12月8日に政府より発表になった、平成29年度税制改正大綱。
税制改正項目にうまく対応するためのフレームワークは…
▼減税メニュー … 積極果敢に攻め、節税チャンスを掴み取る
▼増税メニュー … 守りを固め、防衛策を張り巡らす
でしたね。今日は【増税メニュー】の紹介です。
平成29年度税制改正の増税項目は大きく4つあります。
▼その1 タワーマンション高層階の評価額加算
春先より噂されていた、タワマン節税規制がついに発表されました。
建築物全体の固定資産税評価額を按分する床面積の割合について、
1階を100とし、1階増すごとに約0.26%高くなる。
こんな増税規定が入りました。
今までは、景観がよい高層階は同じ面積でも取引価格が高い。
しかし、固定資産税評価額は同じ面積なら、最上階と1階が同じ
になっていました。
そこで、価格の割に相続税が安くて済む、タワマンの高層階
を節税目的で購入する。
そんな相続税対策が富裕層の間で人気を博していましたが…
ついに増税のメスが入ることになりました。
40階ですと、1階の約10%高くなる。
50階なら、1階の約13%高くなる計算。
今回の増税規定の対象は、平成30年以降に引き渡す新築物件。
現状タワマンにお住いの経営者には影響なしなので、ご安心を!
▼その2 自社株の評価方法の見直し
⇒ 【類似業種比準価額】の計算ルール変更
類似業種比準価額とは、同じ業種である上場企業の株価をベースとして、
自社の
★配当
★利益
★純資産
を加味して株価を計算します。
この計算方法に以下の2点の改正が入りました。
〇現行に課税時期の属する月以前2年間平均を加える。
〇配当・利益・純資産の比重について、1:1:1とする。
(現行は1:3:1)
ストライクゾーンに入るのは、
★従業員数100名以上
or
★総資産額10億円(卸売業20億円)以上&50人超
or
★売上高20億円(卸売業80億円)以上
のいずれかの企業です。
こうした規模の会社は【自社株の紙爆弾】化が起こりやすいので、
節税対策の効果が薄れるのは頭が痛いですね。
この改正は、年明けの平成29年1月1日以降の相続贈与から適用に
なりますので、ご注意を!!
▼その3 相続税&贈与税の納税義務者の条件が厳格に!
★現行: 5年間以上、国内に住所のない場合
★今後:10年間以上、国内に住所のない場合
今後は、被相続人(継がす人)と相続人(継ぐ人)が日本の相続税
から逃げるためには、10年間以上海外に住まなければなりません。
(平成29年4月1日以降の相続より適用)
今までは5年間でよかったのですが…(汗)
▼その4 実質大企業の中小企業に優遇税制なし
これはまさに、国税の後出しジャンケンか??
昨年9月、吉本興業(大阪市)が資本金を約125億円から、1億円
に減資しました。
資本金が1億円以下になると中小企業とみなされるため、
法人税や法人事業税の負担が軽くなる。
これが減資の背景とも言われていました。
しかし、今回の改正で、資本金等の基準では、中小企業者であっても、
前3事業年度の平均所得金額が15億円超の場合、中小企業向けの
優遇税制は適用なしとされました。
ただ最終利益15億円超というハードルは高いので、
該当する中小企業はごく僅かかもしれませんね。
以上、主な増税ポイントを紹介しましたが、小粒な印象ですね。
今日も社長業を楽しみましょう。