» 2014 » 4月のブログ記事

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こんにちは、神戸の税理士の岩佐です。

先日の日経新聞にこんな記事が出ていました。

 

「法人税10%下げれば GDP7兆円増」

 

記事によれば、経済産業省の大企業へのアンケートから法人減税の効果を

試算した結果、上記の効果が見込まれるとのこと。

 

日本の法人税等の実効税率は35.64%。

一方、中国は25%、韓国は24.2%。

近年、国際的な産業競争力強化の視点から、わが国の法人税等の実効税率の高さ

は経済界で問題と言われてきました。

そうした中で、法人税率をたとえ下げたとしても、経済成長を促せば、

税収は伸びていく可能性が高いとの議論もなされていました。

 

今回の経済産業省の調査によれば、法人税率を10%程度下げてアジア諸国と

同等レベルにした場合、海外から事業の一部を日本に戻したり、国内投資の

増加検討したりする企業は42%にのぼるとのこと。

 

大企業の経営者も、法人税率を拠点戦略の合理的な判断指標として考慮に入れる

という事実が浮き彫りになっています。

税効果を投資判断に組み込むのは経営者としては当然ですね。

 

また税理士としては、法人税等の実効税率の引下げ効果は、大企業だけでなく、

中小企業の経営者の思考回路にもプラスをもたらすと考えています。

日本の99.7%を占める中小企業の場合、会社と社長個人は表裏一体ですから、

税効果も会社と個人のどちらで税金を払うのが有利なのかという視点が大切に

なります。

 

今日の税制のトレンドは【個人>法人】ですので、法人で払った方がトータル的には

有利なケースが大半です。

しかしながら、中小企業経営者には【法人税アレルギー】が根強い。

個人にかかる所得税は源泉徴収制度により毎月役員報酬から天引きされるため、

痛税感は薄い。一方、法人税は税理士が決算申告手続きの中で税金計算をしたうえで

払うので、お金を持っていかれるという被害妄想が強くなるのです。

 

ただこれは、日本の源泉徴収制度のワナにまんまと引っかかっていることを

忘れてはなりません。

 

源泉徴収制度というのは、明治時代に始まり、戦時中に政府が戦費を調達しやすい

ように強化された制度です。そして、戦後もいまだこの制度が続いているのは、

官僚にとって徴税が楽だからにすぎません。

いわば、会社が税務署の出先機関になっているわけですから…(汗)

 

源泉徴収は、自分で納税しなくてよいというシステムのため、経営者に限らず、

世のサラリーマンや公務員も含め、税金に対する【思考停止】をもたらしています。

 

ただ法人税等の実効税率の引下げがなされれば、中小企業経営者の法人税アレルギー

が緩和され、源泉徴収制度による錯覚も弱まり、真の意味で法人と個人トータルでの

税効果を適正に判断できる環境が整うのではと期待しております。

今日も社長業を楽しみましょう。

 

 

 

Reckless person

 

 

こんにちは、神戸の税理士の岩佐です。

昨日の読売新聞にこんな記事が出ていました。

 

「起業志望者、バブル期の半分 12年84万人」

 

経済産業省の調査によれば【起業志望者】の数がバブル期の1987年の178万人から、

2012年は約半分の84万人に減ったとのこと。

長引く不況で安定志向が強まり、積極的に起業するリスクを取ろうという人が減った

という見方のようです。

 

また、日本能率協会が先日発表した、2014年度新入社員対象の意識調査においても、

「定年まで勤めたい」という回答割合が50.7%ということで、新入社員の安定重視

の傾向が続いていると分析しているとのこと。

 

う~ん、こういう記事を見ると、長期視点で見た日本経済の行く末が危惧されます…(汗)

 

ただ私も税理士として常日頃より言っているのは、

【社長業 = 究極のハイリスク請負業】

ということ。

 

万一社長が会社を潰し失業しても、国から失業手当はもらえないばかりか、

自宅不動産まで取られるリスクを負っています。

この背景には、経営学の教科書で書かれている、

【日本の株式会社制度 = 有限責任】

という論理が形骸化していることがあります。

実質的には【無限責任】といっていいでしょう。

つまり、わが国の中小企業融資の実態として【代表者の個人保証】の存在

がボトルネックになっているのです。

 

確かに今年2月より、日本商工会議所と全国銀行協会において【経営者保証ガイドライン】

の運用が始まり、

 

▼ある一定の要件を満たせば、経営者の連帯保証人を取らない

▼廃業する際など会社が返済しきれない部分について、個人保証している経営者から

回収する場合、返済に充てるために社長の個人資産をすべて処分するのではなく、

状況に応じて対応し、社長が再起しやすいようにする

 

などといった方針が策定されています。

また、信用保証協会は【経営者保証ガイドライン対応保証制度】を創設しました。

これは経営者の個人保証がなくても、信用保証協会が保証承諾する制度です。

 

ただこの場合の要件を見てみると…

 

★定性要件

▼法人と経営者個人の資産・経理が明確に分離されていること

▼法人と経営者の間の資金のやりとりが社会通念上、適切な範囲を超えないこと

▼法人から適時適切に財務情報が提供されており、本制度による保証付き融資を

実行後も提供すること

▼法人のみの資産・収益力で借入返済が可能であると判断し得るものとして、

次の【無担保無保証人要件】または【有担保保証人要件】のいずれかに該当

 

★定量要件 ~ 【無担保無保証人要件】

①自己資本比率20%以上であること

②使用総資本事業利益率が10%以上であること

③インタレスト・カバレッジ・レーシオが2.0倍以上であること

 

う~ん、こうして見ても、要件のハードルは高いですね。

ただ起業志望者数を今後わが国で増やしていくには、中小企業融資における【代表者個人保証】

に関わる法整備が必要であると感じております。

 

いずれにせよ現代において、私たち現役の起業家は頑張って稼ぎ、

雇用の受け皿を生み出していくという気概をもって仕事していきたいですね。

私たち経営者は【低め安定】の人生にだけは絶対してはいけない。

今日も社長業を楽しみましょう。

 

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こんにちは、神戸の税理士の岩佐です。

先日ホテルオークラにて、三菱電機主催の講演を務めました。

参加者は約80名で、三菱電機系列の製造業の経営者に対し、

演題は『社長のお金を残す力~会社と個人の資産保全を考える』

でした。

 

三菱といえば、岩崎弥太郎氏。三菱財閥の創始者ですね。

1893年の三菱合資会社創設以来、百年企業のトップグループを牽引するのが三菱グループ。

私は今回「三菱」という企業ブランドよりもむしろ、経済界の名門家系・岩崎家の流れ

を汲んでいる面にフォーカスし、リスペクトの精神を胸に秘め、講演に臨みました。

 

なぜか? 近年は上場企業よりも、百年企業の名門に注目が集まっているからです。

ここ10年の日本企業の動きを見ていると、企業の目的が明らかに変わってきています。

一昔前の企業の目的は、上場して株式を公開し、資金を市場から調達できるようにし、

社会的信用を得るのと同時に創業者利益も得ることでした。

会社の究極の成長の姿を【上場】というビジョンを掲げ、同族経営から離れ、少しずつ

会社規模を大きくしていきました。

 

しかし、ここ10年、経営者が自社株を買い取り、株式市場から撤退するという

マネジメント・バイアウト(MBO)が急増しています。

 

MBOによって上場廃止した企業は、2009年15社、2010年13社、2011年21社というように

増加傾向にあります。さらにTOBや経営統合を含めると、上場廃止の数が増え、この5年間

に400社以上の企業が株式市場から撤退するという現象が起きています。

 

この背景には一体何があるのか?

上場企業が自ら上場廃止に踏み切る背景は何なのか?

 

年間に1億円以上もかかる上場維持コストの負担とか、上場によって経営の意思決定スピードが

遅くなるためとか色々言われています。

ただ根底にあるのは、

 

▼経営者自身が【自由度】を再び求めている

 

ということだと思います。

上場して一般投資家を重視した経営をいやがおうにも求められ、創業したころの純粋な企業理念

がどこかへ飛んでいき、目先の利益重視の経営が一番の命題になってしまった。

その反動が自ら上場廃止へと駆り立てていると思います。

人間の幸福は経営者に限らず、究極は【自由】なんですね…

 

そして、この動きは【ゴーイングコンサーン(継続企業)】という経営の原点回帰を

示唆しています。こんな背景から、上場企業より百年企業の存在が見直されているのでしょう。

 

今回の講演では【上場というよりも、豊かな同族経営】を展開するために、会社と個人が表裏一体に

ある我が国の法人の99.7%を占める中小企業の経営者の資産保全について魂込めてお話させて頂きました。

今日も社長業を楽しみましょう。