こんにちは、神戸の税理士の岩佐です。
昨日の読売新聞にこんな記事が出ていました。
「起業志望者、バブル期の半分 12年84万人」
経済産業省の調査によれば【起業志望者】の数がバブル期の1987年の178万人から、
2012年は約半分の84万人に減ったとのこと。
長引く不況で安定志向が強まり、積極的に起業するリスクを取ろうという人が減った
という見方のようです。
また、日本能率協会が先日発表した、2014年度新入社員対象の意識調査においても、
「定年まで勤めたい」という回答割合が50.7%ということで、新入社員の安定重視
の傾向が続いていると分析しているとのこと。
う~ん、こういう記事を見ると、長期視点で見た日本経済の行く末が危惧されます…(汗)
ただ私も税理士として常日頃より言っているのは、
【社長業 = 究極のハイリスク請負業】
ということ。
万一社長が会社を潰し失業しても、国から失業手当はもらえないばかりか、
自宅不動産まで取られるリスクを負っています。
この背景には、経営学の教科書で書かれている、
【日本の株式会社制度 = 有限責任】
という論理が形骸化していることがあります。
実質的には【無限責任】といっていいでしょう。
つまり、わが国の中小企業融資の実態として【代表者の個人保証】の存在
がボトルネックになっているのです。
確かに今年2月より、日本商工会議所と全国銀行協会において【経営者保証ガイドライン】
の運用が始まり、
▼ある一定の要件を満たせば、経営者の連帯保証人を取らない
▼廃業する際など会社が返済しきれない部分について、個人保証している経営者から
回収する場合、返済に充てるために社長の個人資産をすべて処分するのではなく、
状況に応じて対応し、社長が再起しやすいようにする
などといった方針が策定されています。
また、信用保証協会は【経営者保証ガイドライン対応保証制度】を創設しました。
これは経営者の個人保証がなくても、信用保証協会が保証承諾する制度です。
ただこの場合の要件を見てみると…
★定性要件
▼法人と経営者個人の資産・経理が明確に分離されていること
▼法人と経営者の間の資金のやりとりが社会通念上、適切な範囲を超えないこと
▼法人から適時適切に財務情報が提供されており、本制度による保証付き融資を
実行後も提供すること
▼法人のみの資産・収益力で借入返済が可能であると判断し得るものとして、
次の【無担保無保証人要件】または【有担保保証人要件】のいずれかに該当
★定量要件 ~ 【無担保無保証人要件】
①自己資本比率20%以上であること
②使用総資本事業利益率が10%以上であること
③インタレスト・カバレッジ・レーシオが2.0倍以上であること
う~ん、こうして見ても、要件のハードルは高いですね。
ただ起業志望者数を今後わが国で増やしていくには、中小企業融資における【代表者個人保証】
に関わる法整備が必要であると感じております。
いずれにせよ現代において、私たち現役の起業家は頑張って稼ぎ、
雇用の受け皿を生み出していくという気概をもって仕事していきたいですね。
私たち経営者は【低め安定】の人生にだけは絶対してはいけない。
今日も社長業を楽しみましょう。