こんにちは、神戸の税理士の岩佐です。
先日ホテルオークラにて、三菱電機主催の講演を務めました。
参加者は約80名で、三菱電機系列の製造業の経営者に対し、
演題は『社長のお金を残す力~会社と個人の資産保全を考える』
でした。
三菱といえば、岩崎弥太郎氏。三菱財閥の創始者ですね。
1893年の三菱合資会社創設以来、百年企業のトップグループを牽引するのが三菱グループ。
私は今回「三菱」という企業ブランドよりもむしろ、経済界の名門家系・岩崎家の流れ
を汲んでいる面にフォーカスし、リスペクトの精神を胸に秘め、講演に臨みました。
なぜか? 近年は上場企業よりも、百年企業の名門に注目が集まっているからです。
ここ10年の日本企業の動きを見ていると、企業の目的が明らかに変わってきています。
一昔前の企業の目的は、上場して株式を公開し、資金を市場から調達できるようにし、
社会的信用を得るのと同時に創業者利益も得ることでした。
会社の究極の成長の姿を【上場】というビジョンを掲げ、同族経営から離れ、少しずつ
会社規模を大きくしていきました。
しかし、ここ10年、経営者が自社株を買い取り、株式市場から撤退するという
マネジメント・バイアウト(MBO)が急増しています。
MBOによって上場廃止した企業は、2009年15社、2010年13社、2011年21社というように
増加傾向にあります。さらにTOBや経営統合を含めると、上場廃止の数が増え、この5年間
に400社以上の企業が株式市場から撤退するという現象が起きています。
この背景には一体何があるのか?
上場企業が自ら上場廃止に踏み切る背景は何なのか?
年間に1億円以上もかかる上場維持コストの負担とか、上場によって経営の意思決定スピードが
遅くなるためとか色々言われています。
ただ根底にあるのは、
▼経営者自身が【自由度】を再び求めている
ということだと思います。
上場して一般投資家を重視した経営をいやがおうにも求められ、創業したころの純粋な企業理念
がどこかへ飛んでいき、目先の利益重視の経営が一番の命題になってしまった。
その反動が自ら上場廃止へと駆り立てていると思います。
人間の幸福は経営者に限らず、究極は【自由】なんですね…
そして、この動きは【ゴーイングコンサーン(継続企業)】という経営の原点回帰を
示唆しています。こんな背景から、上場企業より百年企業の存在が見直されているのでしょう。
今回の講演では【上場というよりも、豊かな同族経営】を展開するために、会社と個人が表裏一体に
ある我が国の法人の99.7%を占める中小企業の経営者の資産保全について魂込めてお話させて頂きました。
今日も社長業を楽しみましょう。