こんにちは、大阪駅前の税理士法人トップ財務プロジェクトの

岩佐孝彦@税理士です。

先日、顧問先のお客様との会食の会場に向かうため、

JRに乗っていた時のこと。
すると、ある電車内広告に目を奪われました。

『女は大学に行くな、』

大きな字のキャッチコピーが!!

その下にこんな文章が書かれていました。

…………………………………………………

女は大学に行くな、という時代があった。

専業主婦が当然だったり、
寿退社が前提だったり。

時代は変わる、というけれど、

いちばん変わったのは、
女性を決めつけてきた重力かもしれない。

いま、女性の目には、
いくつもの選択肢が広がっている。
その分、
新しい迷いや葛藤に直面する時代
でもある。

「正解がない」。

その不確かさを、不安ではなく、
自由として謳歌するために。

私たちは、学ぶことができる。

この、決して当たり前でない幸福を、
どうか忘れずに。大切に。

私はまだ、私を知らない。

…………………………………………………

これは、神戸女学院大学の電車内広告。

神戸女学院と言えば、有働由美子さんの母校。

先日、NHKを退職。

朝の人気番組『あさイチ』を担当されていらっしゃいましたね。

このキャッチーコピーはお見事!

大学のPR広告は通常、キャンパスの写真が掲載されています。

ただ今回は文字だけの広告で、写真は一切なし。

有働さんというメディア系の有能な人材を輩出しただけあって、

広告センスは素晴らしい!

ネットでは「泣きそうになった」との反響があったとか。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1804/06/news147.html

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この広告を見て、私が思い出したのは、
あの有名なキャッチコピー。

 

『家はまだ買うな』

2000年に住宅業界で登場。

カリスマ経営コンサルタントの神田昌典先生の指導のもと、

平秀信氏が採用し、地場工務店を一気に成長軌道へ。

その後、平秀信氏は億万長者になったとか。

神田昌典先生はご著書の中で、こう語っておられます。

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『〇〇はまだ買うな』

という見出しは業界を引っ掻き回す
には効果的。

お客は、

「なぜ、買ってはいけないのか」

という質問をすることになるので、

この表現の後には、
購買判断の基準を示してあげなければ
ならない。

…………………………………………………

否定形のキャッチコピーは2000年に登場以来、

今もなお、その効果は大きいようです。

否定形のキャッチ、恐るべし。

 

 

われわれ税理士も現場の中で、否定形のセリフをよく使います。

顧問先

「これって、経費になりますか?」

税理士

「これは税法上、経費にできません。」

というパターンもあれば、

税理士

「この取引には、
税務署から否認されるリスク
があります。」

というパターンもあります。

ただ税法に照らした判断を求められる場合、ある意味ラクです。

なぜなら、知識レベルの話だからです。

詰まるところ、税法上アウトか、セーフを判定すればよい

だけだからです。

あとはアウトの判定結果として、
否定形のフレーズをお伝えする時に、

「税理士は税務署の回し者」

「会計事務所は税務署の出先機関」

といったお叱りを受けないように、

説明の仕方や言い回しに注意するのみですね。

 

 

ただ知恵レベルの話の場合、そうはいきません。

例えば、経営判断を伴う相談のケース。

先日、クライアントの社長から電話をいただきました。

「銀行からM&Aの案件を紹介を
されました。

融資もするから、
この会社を買わないかとのお誘いです。

先方の決算書を送りますので、
一度見て頂けないでしょうか?」

というわけで、
先方企業の決算申告書がドサッと送られてきました。
「先方提示の売却価額が適正なのか??」

「吹っ掛けられた金額ではないのか??」

「もっと安くしてもらえるように、
価格交渉の余地はないのか??」

 

まずは、買い手側の顧問税理士として、
決算書上から判定せねばなりません。

M&Aの世界では、企業価値の評価方法として、
基本パターンは以下の5つがあります。

▼DCF法

▼収益還元法

▼市場価値法

▼類似会社比準法

▼純資産価額法

 

ただ中小企業のM&Aでは以下の算定式がよく用いられます。

『時価純資産価額(A) + 営業権(B)』

時価純資産価額(A)とは、
資産と負債を時価に換算し直した価額。

営業権(B)とは、
標準経常利益×(2~5年)で計算。

さて、本件の適正価額はいくらか??

私(岩佐)の見立てでは、
先方希望額は高いとの判断に至りました。

確かにP/L面では、
堅調に黒字経営を実践されていました。

しかし、B/S面に問題がありました。

 

 

その後、先方企業と仲介役の会計士の方が弊社オフィスに

お見えになり、クライアントの社長と共に最終面接を

しました。

その結果、クライアントの社長は紹介元の銀行に対し、

正式に本件のお断りの連絡をされました。

 

中小企業のM&Aが近年、
本当に活発に見られるようになりました。

買手側の経営者としては、
M&A後の色んな展開を考えます。

現状のやり方に固執することなく、
新たな打ち手として、

M&Aは成長意欲の高い経営者にとって有効でしょう。

 

新規事業には以下のパターンがあります。

▼Aパターン

(新)事業 を(現)市場 に投入
▼Bパターン

(現)事業 を(新)市場 に投入

▼Cパターン

(新)事業 を(新)市場 に投入

 

本件の場合、Cパターンでした。

製造業がレストランに進出する話でした。

しかし、このパターンが最もリスクが高いのです。

新商品や新サービスを新たなマーケットに投入する。

新規事業の失敗パターンとも言えます。

確かに飲食店は参入障壁は低い。

よって多角化の一環として、経営者は興味が湧きやすいのです。

私(岩佐)なら、こう考えるかもしれません。

「レストランって、面白いかも。

税理士法人を経営していくのも、
色々大変だし、将来どうなるかもわかんない。

だから、収益の柱として別に作っておくことを考えないと。

ちゃんと利益の出ているレストランをそのまま買えば、話が早い。

安定した利益が計算できる。

レストランなら、何かイメージしやすいしな。

岩佐グループにレストランがあってもいいな。

ストックビジネスになるかも。

士業の中で、税理士はストック性が高いしな。

えへへ、俺ってストックビジネスのセンスある?」

 

 

でも、こんなことを考えたら、絶対ダメです。

税理士がレストランに進出する。

まさに失敗するパターンです。

ヤバい、ヤバい。良からぬことを考えてはいかん!

(笑)

新規事業をするなら、
Aパターンか、Bパターンであるべき。

これを鉄のルールとしましょう。

セコム創業者の飯田亮氏はかつて、
日本経営合理化協会の講演で、

全国の経営者にこう言われたそうです。

…………………………………………………

人間はストックで生活すると、
ダメになる。

ストックで暮らすようになると、
怠惰になる。

長期的な幸福を考えると、
基本的にフローで生活することが大事だ。

…………………………………………………

これは大変深いお言葉です。

「不動産に安易に走るな!

本業をしっかりやれ!」

中小企業経営者に対する、
そんな戒めも含んでいたとか。

ストック収入を求めるがあまり、
落とし穴にはまってはいけません。

 

また、会社買収は単なる、

【1+1=2】

の足し算の話ではありません。

【自社のB/S+先方のB/S=資産合計】

の数字レベルの話だけでは単純に語れません。

数字に表れない組織風土や、
カルチャーの問題も関わってきます。

セコム創業者の飯田亮氏は、
こうも語っておられます。

…………………………………………………

商品とは結局、
それを提供する人々のカルチャーから
抽出されたものである。

組織や会社のカルチャーを維持
していくうえでは、

「細かな乱れ」を見逃してはならない。

…………………………………………………

先ほどの事例では、
企業カルチャーに大きな溝を感じました。

売り手企業の品質基準は『65点』。

一方、買い手企業の品質基準は限りなく『100点』。

だからこそ、クライアントの社長の会社は絶好調の
高収益を実現されていらっしゃるのです。

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以上、あらゆる角度から見て、
私(岩佐)の助言として、

先日の神戸女学院の広告にあやかり、

『レストランは買うな』

と言ったことは間違っていなかった。

そう確信しています。

銀行からも後日、私宛にお礼の電話がありました。

今日も社長業を楽しみましょう。

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